報道発表から質問と回答欄  1ページ 2ページ 3ページ  4ページ  5ページ  6ページ


吉田調書から見えてくる事

 吉田調書が公開されましたが、実は大きな問題がまったく論議されないまま、報道では「福一からの撤退」の論争だけが先行しています。
そもそもなぜ一部人員が福一から撤退せざるおえない状況になったかの論点が報道からは出てきません。
 報道と政府は一番肝心な部分が論点に出ない様にしているとしか考えられないのです。
 一番肝心な部分、「メルトダウンを防ぐ事が何故出来なかったのか?」の一点に絞られるはずなのです。
 TOPページにも事故直後から書いていますが、非常用バッテリーでの冷却が吉田調書でもはっきりと語られているのです 吉田調書P23〜P24参照 

一部抜粋
○質問者 炉心溶融などを防ぐという意味でRCICとかICが8時間だとか、何日だとか、どのぐらいもつという判断だったんですか。
○回答者 私などは8時間で死ぬと。
○質問者 8時間しかないと思っていた。
○回答者 はい。
○質問者 実際は結構長く動いていたんですね。
○回答者 これは運転員が賢くてと言ったらおかしいですけれども、バッテリーの負荷をどんどん切っていって、普通、いろんなものに供給しているバッテリーなんですけれども、その負荷をだーっと切っていって、RCICだけに絞ってくれたからもったんです。
○質問者 水よりもバッテリーがネック。
○回答者 バッテリーがネックです。
○質問者 このころの検討としてDD、FPですね。これについては過水から入れると。、、、、以下略、本文を参照



 スクラム時に全電源がダウンしても設計上8時間は非常用バッテリーで炉心冷却が可能な様に設計されています、(設計上、、、つまり設計ではバッテリーの劣化が発生していても8時間は絶対に稼動するように最低でも12時間の運転が可能なように安全係数を持たせます)。
 もしも、この非常用バッテリー冷却が48時間運転可能だったとしたら、、、完全に冷温停止まで炉心温度を下げる事が可能なのです。
通常のスクラムであれば、2日間もあれば燃料を取り出せるのです。
吉田前所長もバッテリーは使い切ってしまえば「おしまい」としか考えていなかったのです、さらにこの非常用バッテリー冷却系には予備が無かった事がわかります。
何故なんでしょうか?
他の機器はすべて予備が存在します、第二、第三の予備まで存在しているのに非常用バッテリー冷却系統だけが予備設備が存在しなかったのです。
 ですが問題は予備設備だけではありません、福一では発想の転換が出来なかったのです、バッテリーとはそもそも乾電池とは違います、充電が可能なのです、時系列から考えれば電源車から非常用バッテリー冷却系統への電源供給が十分に可能だったのです。
 非常用バッテリー冷却系は最もコンパクトな冷却系でもあり、猛烈に太い電線を必要としません。
この非常用バッテリー冷却系統への電源供給を考えられたなら、ばさほど大きくない発電機をヘリで輸送する事も可能だったはずです。
 電線も、この日本で調達困難とは考えられません。

 バッテリーは使い切って「おしまい」から発想の転換が出来なかったのがそもそもの原因であると私は考えています。
8時間で終わるのではなく、発想の転換が必要だったのです。

では何故発想の転換ができなかったのでしょうか?
残念ながら、日本中の原発には運転員しか在中していないのです、もし原発設計者が原子力発電所に常駐していたら簡単に思いつく発想なのです。

 実は現在水面下では、非常用バッテリー冷却系統を3系統にする動きが出ていますし、安全審査でも重要視されている部分でもあります。
3系統として、一箇所に集中せずに分散配置する方向で安全審査が行われているのです。
 でも、まったく報道では話題にならない??日本の原発行政の汚点であり、触れられたくない部分でもあるかの様に扱われているのです。時系列の事象を検証する事も大事ですが、同じあやまちを繰り返さないためにも、幾つかの分岐点で違う方法を取ったら放射能事故は防げたかどうかも検証する必要があると思います。
 また、交流電源がすべて失われた直後に、私を含めた設計者が福一に早期に入っていれば、3.11の原発惨事は防げた可能性があったのです。
 新基準にバッテリー電源の項目を盛り込んだとしても福一事故は逆戻りできないのです、逃げた逃げなかったの論争などが福一事故の核心ではありません。
 電源車が高台にあったら事故を防げたなどは論外で海水に浸かった電気部品が簡単に復旧するはずはありません、扉の気密性などで防水効果など不可能で、ご承知の様にトレンチやら配線ダクトからいくらでも水は浸入するのです。これを防ぐには完璧な防潮堤しか実現しません。
 必死になって交流電源を引いても中央制御室の電灯が灯っただけで、すべての冷却設備が海水によって失われた事を忘れて電源車を高台に設置するなどと実に馬鹿馬鹿しい改善をマスコミに発表している様は腹が立ちます。電源を接続しても何一つ冷却機能が復旧しなかった事を無視しています。
 時系列で原子炉が壊れる様を再現しても教訓として生かす事など出来ないのです、学者はバッテリーが8時間で終わると考えるでしょうが、設計に関わった技術屋は8時間では終わらせないないのです。

 原子力規制庁、そして政府、「8時間しか持たなかった」が結論になってはいけないのです。検証の中から「もしもこの時に選択する方法を変えていれば重大事故にまで進まなかったのではないか」を徹底的に探し出し、公開するのが重要ではないかと考えます。
 現在、非常用バッテリー冷却系統の安全基準変更などは隠密裏に進んでいますが、表に出て来るニュースは「フィルターベント設備」に「電源車の高台設置」の一色です。

● フィルターベントについて
 フィルターベントについて申し上げるならば、「ベント」そのものが事故を想定した格納容器の減圧装置であり、今回の事故を振り返って頂ければわかる通り、「ベント」によって減圧された瞬間から圧力容器の冷却水は一気に水蒸気と化して注水が開始されなければ一気にメルトダウンに進んでいきます。結果として大量に注水された冷却水が汚染水と化すのです。
 原発設計の基本は事故が発生しない構造にする事が最優先で設計されなければなりません、現在原子力規制委員会の指針は原子力事故が発生したらいかに被害を少なくするかしか考えていません。
その代表か「フィルターベント」です。

※ベントの基本的考えは、圧力容器の圧力を下げ、注水が出来る圧力まで容器圧力を下げるための減圧(大気放出)を意味します。
マークTの場合、炉心冷却が完全に止まった場合、約3時間以内にメルトダウンが発生します、つまりメルトダウンを発生させないなめには2時間以内に格納容器の減圧をしなければならないのです。
 これからベントをしますと警告しても、わずか2時間以内で非難しなければならないのです、15条、16条が発令されても非難に十分な時間を確保するには冷却が継続されている必要があり、避難終了前に大気放出をするなど言語道断の安全基準なのです。
 新基準では、非常用バッテリー冷却系統の予備の予備までもうけますから24時間の炉心冷却が可能になりますが、マークTの場合き48時間欲しいです(マークTは全廃炉! 延長なんかありえない)。

以下、時間があったら??(時間を作って全調書をお読み頂きたいと思います)
政府事故調による全ヒアリングを公開いたします。
被聴取者 聴取日時 聴取内容 聴取結果書
氏名 調書上の所属
池田 元久 元経済産業副大臣 2012/2/9 事故対応全般について (PDF:4,015KB)
枝野 幸男 経済産業大臣(事故当時は内閣官房長官) 2012/3/25 事故対応全般について (PDF:7,084KB)
海江田 万里 民主党衆議院議員(元経済産業大臣)元経済産業大臣 2012/2/8 事故対応全般について (PDF:3,714KB)
2012/2/13 事故対応全般について (PDF:3,287KB)
菅 直人 衆議院議員(事故当時は内閣総理大臣) 2012/4/3 事故対応全般について (PDF:7,378KB)
北澤 俊美 民主党参議院議員(事故当時は防衛大臣) 2012/5/31 事故対応全般について (PDF:1,066KB)
近藤 駿介 原子力委員会委員長内閣府 原子力委員会委員長原子力委員会委員長 2012/2/1 最悪シナリオについて (PDF:1,281KB)
2012/2/1 外的事象のリスク及びAMの認識、外的事象PSAの技術水準等について (PDF:5,206KB)
2012/4/16 1.不測事態シナリオ、日米協議について2.PSA、外部事象のリスク、AMについて (PDF:11,004KB)
首藤 伸夫 東北大学名誉教授 2011/7/6 首藤名誉教授の原発安全審査への関わり、土木学会原子力土木委員会津波評価部会における議論等 (PDF:635KB)
2011/9/29 H23.8.17付け毎日新聞(夕刊)記事及び原子力発電所の津波対策について (PDF:422KB)
鈴木 篤之 日本原子力研究開発機構理事長(元原子力安全委員長) 2012/3/8 委員長を務めて感じた、安全委員会の問題点及びそれに対してどのような対策に取り組んだか (PDF:1,686KB)
鈴木 寛 民主党参議院議員(事故当時は文部科学副大臣) 2012/2/23 モニタリング、SPEEDIについて (PDF:3,675KB)
2012/3/7 モニタリング、SPEEDI、校庭の利用基準について (PDF:3,404KB)
木 義明 衆議院議員(元文部科学大臣) 2012/1/31 モニタリング、SPEEDI、校庭の利用基準について (PDF:3,442KB)
中野 寛成 民主党衆議院議員 2012/5/8 3月11日の官邸5階での協議、緊急時被ばく線量限度の引き上げについて (PDF:172KB)
長島 昭久 民主党衆議院議員 2012/2/2 日米協議、放射線被ばく線量限度500mSvへの引き上げ検討について (PDF:4,016KB)
福山 哲郎 民主党参議院議員(事故当時は内閣官房副長官) 2012/2/15 事故対応全般について (PDF:8,461KB)
2012/2/28 事故対応全般について (PDF:4,217KB)
藤城 俊夫 財団法人高度情報科学技術研究機構 参与 2012/3/29 平成18年当時の原安委防災指針検討WGにおける防災指針改訂に係る議論等について (PDF:2,410KB)
細野 豪志 環境大臣/原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣/内閣府特命担当大臣(原子力行政)環境大臣(事故当時は内閣総理大臣補佐官) 2011/12/14 事故対応全般について (PDF:8,125KB)
2012/5/31 不測事態シナリオ、原子力規制委員会の態勢について (PDF:699KB)
松浦 祥次郎 公益財団法人原子力安全研究協会評議員会長(財団法人核物質管理センター会長(非常勤)兼務) 2011/8/2 アクシデントマネジメント、リスク情報の活用等 (PDF:3,775KB)
松本 宜孝 内閣府 政策統括官(防災担当)付参事官(災害応急対策担当)付業務担当主査 2012/1/16 原災本部長の権限の一部委任について (PDF:883KB)
森山 善範  原子力安全・保安院災害対策監経済産業省 原子力安全・保安院 原子力災害対策監 2011/9/13 汚染水、統合対策本部における広報について (PDF:801KB)
2011/10/18 原子力安全・保安院による津波対応について (PDF:682KB)
吉田 昌郎           東京電力福島第一原子力発電所長           2011/7/22 事故時の状況とその対応について (PDF:7,010KB)
2011/7/29 事故時の状況とその対応について (PDF:7,170KB)
2011/8/8 事故時の状況とその対応について 1 (PDF:3,639KB)
2011/8/9 事故時の状況とその対応について 2 (PDF:3,514KB)
事故時の状況とその対応について 3 (PDF:3,513KB)
事故時の状況とその対応について 4 (PDF:6,870KB)
事故時の状況とその対応について (資料) (PDF:5,298KB)
2011/8/9 汚染水への対応について (PDF:536KB)
2011/10/13 高濃度汚染水の存在についての3月24日以前の想定について (PDF:625KB)
2011/11/6 事故時の状況とその対応について (PDF:7,481KB)
2011/11/6 事故時の状況とその対応について (PDF:4,233KB)


追加として定時降下物の比較をお知らせいたします

2011/04の定時降下物


(H26年7月分 [March, 2014])の定時降下物


定時降下物については以前に書きました様に、森林の針葉樹に降り積もった放射性物質が風と共に再飛散していると判断し、針葉樹の葉の入れ替わりと共にセシウムなどの再飛散は約3年でほぼ終わるはずとしていましたが、2014/07月の東京都で比較するならば、Cs-137の値が一ヶ月で1.0MBq/Km2=1Bq/m2にまで減少しています。
この1Bq/m2は福一事故が発生する以前の数値と同等の数値になります。

ですが油断しないで下さい、地面に降り注いだセシウムは表土に固着し農産物を汚染し続けています、また海の汚染も大きく現在も地表から流れ出したセシウムによって汽水域を好む魚(特にスズキ)などからは大きな数字が出ていますし、川魚も要注意です(鮭などは遡上する時には餌をほとんど食べずに遡上する事から安全と考えられます)。
農産物では、相変わらずサツマイモ、レンコンから比較的多く検出されています。
米も未だに出荷規制を受けている地域も多く存在します、ソバなどは米から比べて非常に高いセシウム吸収がありますので産地に注意が必要です。
今現在も原発事故は収束して安全となった訳ではありません、大切な事はむやみに怖がらず産地の確認をしっかりと行えば事故以前の状態を確実に確保出来る段階にまでなっています。

困ったちゃんの宮城県の定時降下物? 2013/3月の測定ですけど・・・

丸2年をかけて精一杯放射性降下物の少ない地点を探していたんでしょうかね(ひょつとして水盤の上に屋根があったりして)。
翌月の、2013/4月よりやっと全国版に登場していますが、もう宮城県の測定結果なんか誰も信じません!

● HP更新の最後に、SPEEDIの廃止が検討されています。SPEEDIそのものは完全ではなく、一般の方は見る事すら出来ず自治体のSPEEDI端末を操作できる人に限られた運用しか出来ない存在でした。

参考 新潟県
http://housyasen.a.la9.jp/

まだ未完成の部分がありますが、原子力事故が発生しても閣僚の手で簡単に握り潰される軟弱なSPEEDIは、事故が発生しても何の役にも立たなかった事を考えるならば、原子力事故によって住民が避難する方向は示す何らかの手段が必要であると考えます。
新潟の様に、こんなテレメーターシステムを構築した自治体は新潟県だけというのも現実です。
SPEEDIは一般公開可能なネットワーク上に置く事が最も望ましい形であると思いますが、原子力規制委員会は「臭い物には蓋」なんでしょうね?
SPEEDI廃止には断固として戦いますが、、、新潟県は「最も臭い」自治体、、、是非原子力規制委員会にSPEEDI存続の抗議メールをお願いします。